ソフトウェア開発をテーマにした小説

はじめに

 SEをテーマにした小説としてはなれる!SE 2週間でわかる?SE入門 (電撃文庫)が最近では有名(?)です。これはネットワーク系のエンジニアが主人公なのですが、ソフトウェア開発系のエンジニアをテーマにした小説も世の中にはあります。
 そんな小説がちょっと前に一部の人の間でやたら注目を集めておりまして、読んだら面白かったのでメモ。

小説が掲載されているサイト

 以下のサイトに小説が掲載されています。

 現在は以下の2タイトルが存在します。

タイトル 執筆状況 テーマの概要
高慢と偏見 完結 昔の成功経験を元にプロジェクトを仕切るPMと現場との摩擦。特にオブジェクト指向の軽視。
人形つかい 連載中 まだ連載中なので本当のテーマは不明。実装担当をを軽視しまくっている設計担当と、実装担当の摩擦がメインっぽい。

高慢と偏見」を読んだ感想

「これは読んだ後、自分の仕事を振り返るきっかけとかにすると良いのだろうな」ということで、自分を振り返りました。

銀の弾丸は存在しない」ということは常に意識した方が良い

 ストーリーは、「OOD/OOP 対 昔ながらの設計/実装」だったのですが、多分問題の本質はそこではないのでしょう。
 開発対象、道具、規模、etc...で有用な方法論はいくらでも変わる可能性があると言うこと。
 私には書けませんが、設定によっては「昔ながらの設計/実装」が勝つお話だって書けると思います。

 まあ、一方で状況に応じた手法を採用するなんて言うのは、簡単ではないのも事実なので、意識したからってどうにか出来るかは難しいですが。

道具は「何が普通か」を理解してから使う

 構造化プログラミングを行っているならば、構造化プログラミングの「お約束」をちゃんと理解しておく。
 お約束から外れる場合は、そこはお約束から外した方が良いのか真面目に考える。
 コピペしまくりのプログラミングは、お約束から外してますしね。

 オブジェクト指向プログラミングを行っている場合でも、当然同様。

 経験だけではなくて、書籍とかで一般論を知っておいた方が良い。
 作中のPMは経験に偏りすぎだったのでしょう。

世の中の知見は徐々に蓄積されていっているから、何らかの方法で知識はアップデートしていく必要がある

 例えば、1990年代のオブジェクト指向プログラミングの書籍は、今からみれば笑ってしまうような実装例が載っていたりします。
 そういった方法論部分の変化はちょっとずつなのですが、塵も積もれば山となる、です。
 知識をアップデートしないといつかは時代遅れになります。

いつか自分が労害と呼ばれる可能性は有り、老害になったことに気づくのはきっと難しい

 作中のPMは、昔は優秀なPMだったはずです。
 それが、時が経つにつれ労害に。

 一方で、自分が老害になったときに、それに気づくことは大変難しいのではないかと思います。
 これは結構な恐怖。

 余談ですが、作中では、老害という単語は使われずに老害を描いてました。ちゃんとした物書きの仕事ですね、これ。

さいごに

 エンターテイメントとしても結構面白いと思いますので、まだ読まれてない方はぜひ。